「美」とは何かという哲学的問い。思弁的にではなく計算論的に解き明かしたい。それに基づく芸術とデザインに挑戦したい。
カントやヘーゲルの美学：経験主義的、現象学的、人間の感性に依拠した概念。
人は何に美しさを感じるか？ 認知心理学的アプローチ。
G.D.バーコフ[1]、M.ベンゼの情報論的美学 [2]：合理主義。人が存在しなくても存在する「美」。これらはデカルト的。計算可能な美の追求。マシンと人に共通な美。
最近のアプローチ
- 動物の美学：芸術作品に対する動物の反応を観察する。動物心理学的アプローチ。[6]
- 神経美学：人間の感性に対する生理学的、解剖学的アプローチ。[4,5]
美の構造は、神経機能に由来する制約の下にある。感性の客観化（科学的解剖）。
- 進化美学：進化心理学的なアプローチ。美の創発。[3].
性選択：性的二型の進化。魅了と忌避。
風景の評価：生息場所、資源あるいは冒険心の誘発。
さらに社会性の問題：社会規範・倫理の創発と効果。抑圧と解放。
文化としての魅了と忌避。装飾。
- 宇宙(あるいは自然)と美学：美しい複雑系。[7]
未知の生命体、あるいは、バクテリアのための芸術。[8]
- 圏論に基づく美学の数理構造。[9]
関連する考察のネタ
- 芸術について
作者/作品/鑑賞者の関係。Art Brut, 風景写真, 古代遺跡, 作者の意図は付随的なものか？
背後の物語性。鑑賞のサブサンプション階層。論理的解釈と直感。
- 様々な美の形：美術、音楽、映像、写真、舞台、文学、工芸、園芸、
工業デザイン、商業デザイン、建築・土木、服飾、宝飾、料理、
- 創作・実演・普及の同時性と経時性 仕込みと即興、相互作用 できごとの美学
- 創造性：発明、創作。セレンディピティ、キュリオシティ。独創 vs. 剽窃。理解・説明
- 作者はだれか？ 知的所有権。知的財産の法的保護による発明の動機付け。利益と名誉
- 崇高さ(あるいは畏敬)、中毒、技巧、強化学習法における報酬の構造
- 社会クラスタ（カースト、部族、国家、企業、階級）のマーカあるいは記憶のための儀式
- 社会的認知・評価・普及 流行 芸術の社会システム：美術館・劇場・市場・興行・保護
- 法的規制の問題。権力者（王、政府、有権者）に不快感を与える芸術。
美を評価するための計算：計算美学尺度 (4/14,15追加)
- 情報美学の定式化・アルゴリズム化。
- 複雑さをどう計量するか。コントラスト。多重解像度。
- 様々な特徴量の時空間分布と頻度分布。
頻度分布については、べき則及びその類似法則：1/f ゆらぎ、ジップ則、。。
- 写真のフレーミングの経験則を計算可能にする試み。
構図の類型化と抽出。黄金比は怪しい。
- 人工批評家、AI批評家
美しさの評価。経験主義的な意味で、人による評価例から学習することはある程度可能。
人への説明は難しい。2025年頃にはできるか？
美を生成するための計算：生成的算法 (4/14追加）
- 再帰的書き換えによる指数爆発的展開。
L-System, Shape grammar, Chaos
- 下位における多体の相互作用と上位からの制約による複雑適応系。C. Langton (A-Life)
ハイパーサイクル、進化(複製、変異、選択)、生態系、発達、学習、群、。。。
- 確率過程
計算を主な手段とする芸術あるいはデザインの実践例
(4/13, 6/13 追加)
- 静止画
- 川野 洋[10]
- 関数によるアート: 阿部好志 → 関数による進化アート: K. Sims, T. Unemi
- 低複雑性アート: Jürgen Schmidhuber
- 進化アート: K. Sims, W. Latham, P. Machado, E. Lutton, E. den Hijer ...
- スウォームアート: D. Shiffman, D. Bisig,
- 音楽
- アルゴリズミックあるいはフラクタルコンポジション
- ライブコーディング
- スウォームミュージック
- インスタレーションあるいはロボット
- 土佐尚子
- 木本＋合原
- 石黒＋池上、宮島＋池上
- Christa Sommerer
- デザイン
(未完成です。随時、加筆修正します）
参考文献
- G. D. Birkhoff: Aesthetic measure, Harvard University Press, Cambridge, MA, USA, 1933.
- マックス ベンゼ, (草深 幸司 訳), 情報美学入門―基礎と応用, 勁草書房, 1997.
- Denis Dutton, The Art Instinct: Beauty, Pleasure, & Human Evolution, Bloomsbury Pub., 2010.
- Anjan Chatterjee, The Aesthetic Brain: How We Evolved to Desire Beauty and Enjoy Art, Oxford University Press, 2013.
- Gabriel Starr, Feeling Beauty: The Neuroscience of Aesthetic Experience, MIT Press, 2015.
- 渡辺 茂, 美の起源: アートの行動生物学, 共立出版, 2016.
- 秋庭史典，あたらしい美学をつくる，みすず書房，2011.
- 久保田晃弘，遥かなる他者のためのデザイン，BNN新社, 2017.
- Akihiro Kubota, Hirokazu Hori, Makoto Naruse and Fuminori Akiba, A New Kind of Aesthetics -- The Mathematical Structure of the Aesthetic, Philosophies, 3, 14, 2017.
- 川野 洋, コンピュータと美学, 東京大学出版会, 1984.
