今井喜良・近況報告

◆◆◆◆◆◆ 近 況 ◆◆◆◆◆◆

 風邪の季節、皆さんお元気でご活躍でしょうか。

 現在、「カコナール」でおなじみの山之内製薬・製品企画部(英名はProduct Planning Departmentと申します)で自社製品の育成(現実には特許切れを延期するための適 応症の追加だったりします)や、国内外の製品を導入するにあたってはその評価に携わっ ています。今はやりの鑑定士ではありませんが、経験と目利きが要求される部署でもあり ます。

 最近、大型化が期待されていたN社の製品を国内大手T社が導入契約 を済ませせたと発表があり、その直後の9月に欧米の副作用報告を理由に開発が断念され ました。実はこの製品は弊社にも紹介があり、半年かけて外部専門家の意見を集めなが ら評価し、最終的に辞退を伝えた製品でした。

開発中止の記事がインターネット上に流れ た時には、紙一重のところで「守られた!」と思わず実感しました。というのも、N社か ら提供される資料には問題点を想起させる記載はなく、むしろ先行品より製品力が優れて いると思われ、最終的には社内判断でお断りしていたからです。

私個人の眼力というよりは、周囲の力に助けられたと言った方が正しいと思います。 時に、こうした劇的な事件も ありますが、こうした相場師的な仕事ばかりをしているわけではありません。

 大学2年に信心して以降を振り返ると、皆さんに語れるような大きな体験はあ りませんが、転機のたびに冥益は一杯頂いています。これからは、少しずつでも 周囲にお返ししなければと思っています。